労働審判制度の概要

(2006年1月10日)

2006年4月1日から「労働審判法」施行され、企業と従業員個人との労働紛争(個別労働紛争のみが対象)の解決手段の一として、一定の法的拘束力を持つ形の解決手段がスタートする。以下、その概要である。
【追記】最高裁は、2006年2月に、全国で997人(内、女性は47人)の労働審判員を任命した。この審判員(任期は2年)9は、日本経団連と連合を窓口として候補者が推薦されたもので、平均年齢は59.6歳。

1.従来からの経緯
  従来の個別労働紛争は、裁判(調停)や「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づく、都道府県労働局長による助言や指導、紛争調整委員会によるあっせんが利用されてきた。
しかし、裁判は時間がかかること、指導・助言やあっせんには法的拘束力がないことがネックとなっていたため、一定の法的拘束力をもつ解決手段が求められていた。
2.労働審判手続きの流れ
紛争発生
労働者または使用者による申立
労働審判手続きの開始
(地方裁判所・労働審判委員会)
審理(原則として3回以内)・調停
  
調停成立 労働審判
    

  受諾
(労働審判確定)
  異議申立
(2週間以内)
    
紛争解決  紛争解決  訴訟に移行
         
3.労働審判の概要
(1)労働審判の審理は、地方裁判所の労働審判委員会で行われる。この委員会は、裁判官である労働審判官1名と、労働者、使用者双方の労働審判員各1名の計3名で構成される。
(2)審理は、適宜調停(話し合い)が試みられ、ここで調停が成立すれば紛争は解決し、調停が成立しなければ労働審判を行う。労働審判は、裁判上の和解と同一の効力をもち、当事者がこれを受諾すれば紛争解決となる
(3)労働審判は、特別な事情がある場合を除き、3回以内の審理で終わり、申立から数カ月で労働審判の判断がでる。
(4)申し立て費用は、請求金額に応じた手数料となり、民事調停と同様。100万円の賃金の支払請求だと5,000円、300万円だと10,000円。
   代理人なしの申立ても可能であるが、当面は迅速な審理実現のために、弁護士が代理人になるものとみられ、そのための費用がかかることを踏まえておく必要があり、軌道に乗るには一定の時間がかかるものとみられている。
         
4.主要な労働紛争解決手段・制度
  労働審判制度を含む主要な労働紛争解決手段・制度の概要は、次表のとおり。
制度主管概要メリット制約・デメリット
労働審判制度地方裁判所裁判官、専門家が短期間で個別労働紛争の解決を図る短期間で審判、低コスト集団労使紛争は対象外
調停簡易裁判所民事調停法に基づく紛争解決短期間で調停、低コスト、訴訟と連動民事調停であり、労働紛争には適しない
個別労働紛争解決制度都道府県労働局総合労働相談センターによる紛争調停委員会のあっせん専門家助言、迅速なあっせん案の提示法に違反しているかどうかの視点中心、紛争解決に強制力なし
監督行政労働基準監督署、雇用均等室、職安労働基準法や関連法規の法違反に対する指導や是正勧告賃金不払いなど法律上の違反行為に対する是正勧告刑罰主体(賃金不払いの勧告が出されても会社に支払能力がない場合は別途民事的な解決が必要)
裁判外紛争解決(ADR)認証紛争解決事業者社労士による民間ADR機関など低コスト、時効の中断や訴訟手続きの中止など強制力なし、運用は今後(2007年5月31日までに開始予定)


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